2011年1月 東北新幹線延長開業区間
  2011/2/13 up   目次へ戻る
昨年12月、東北新幹線が3度目の延長開業でようやく全線開通に漕ぎ着けた。
頻繁にニュースが流れ津軽地方の開通の喜びが伝わってきた。
しかし鉄道マニアとしては並行在来線の運命を考えると余り嬉しくは無い。
新幹線が延長開業しても乗りたい気持ちは湧いてこない。九州新幹線も然りである。
しかし国鉄・JR全線完乗を目前に控え、残すところ6区間になっているのに、
未乗区間の発生は放っておくわけにはいかない。
それを理由に北に向って旅に出ることにした。実は新幹線は口実で旅に出たかった。

北へ向かうには夜行列車が最も私の旅に相応しい。
函館までなら北斗星、秋田・青森ならあけぼの。遠回りになるがトワイライトもある。
金曜夜の寝台列車の個室はオフでも切符の売れ行きは良いからのんびりはできない。
旅の計画は1ヶ月以上前に立て、丁度1ヶ月前に旅行代理店に行かねばならない。
指定券の発売は1ヶ月前の朝10時から始まる。
全国にあるコンピュータの端末がすべてライバルであり、
発売開始数十秒で売り切れる場合もある。北斗星やトワイライトの切符はそうらしい。
シーズン中なら前日に立ち寄って指定券購入の予約をするという裏技がある。
今回はそれをしなかった。1月下旬ならスキー列車で無い限り空いていると思った。

12月21日、仕事帰りに旅行代理店に立ち寄った。
でも何時ものようにワクワクする気持ちが起きない。なぜなら1月は運休が多いのだ。
昨年もこの時期、大阪駅できたぐにの運休に遇い、寝台券を握ったまま途方に暮れた。
雪の影響だから仕方ないが、運休によって私の旅はボロボロになる。
若い頃の気ままなのんびり旅行とは違い、念入りに立てた列車乗り継ぎの美学がある。
最近は定時運行より安全優先になり無理をしないので遅れも頻繁に発生する。
乗客が少ない割に手間は掛かる寝台列車は特に諦めが良い気がする。
もとより大事な仕事の政治家やビジネスマンは乗らないから、JRも文句は言われない。

1月21日(金)発の北斗星は1月前の発売日の夕刻にはAもBも売り切れていた。
最近、夜行列車がリタイアした団塊の世代のターゲットになっている感じがする。
廃止1年前のあかつきが、がらがら(B寝台は空の車両も)だったのが嘘の様だ。
落胆し途方に暮れながらも、気を取り直してあけぼのの寝台券を申し込んだ。
あけぼののA寝台の最後の1室(信じられない)を運良く手に入れて、複雑な心境だ。
1月下旬のあけぼの号のA寝台の切符が1ヶ月前の発売初日に売切れてしまうなんて!
夜行列車は衰退の一途だ。何年かすれば全廃されるだろう。
すでに廃止された寝台列車の車両はタイやベトナムなどの途上国に譲渡された。

最初に計画していた北斗星の代わりにあけぼのの切符が手に入り、計画を練り直す。
時刻表を見ながらのその作業はそれはそれで楽しい。旅そのものより楽しくもある。
あけぼのでの旅立ち。青函トンネルで木古内まで往復する途中に津軽今別で下車する。
東北新幹線の延長開業区間の初乗りの後、仙台市内の古いラジウム温泉旅館に泊。
旅の最終日である3日めは、仙台から常磐線経由のひたちで上野に帰る。
仕事の遣り繰りが付けば旅の初日は仕事を早退し八王子から錦糸町まであずさに乗る。

旅立ち当日までの1ヶ月間は夜行列車の運行状況を確認し続けた。運休は少なくない。
旅立ちの当日。天候は安定し、運休の発表はない。仕事を早退し家に帰って旅支度。
最寄のJR駅の越生からJR東日本フリーパスの利用を開始する。八高線で八王子へ。
ダイヤに乱れは無く、信州からのあずさも定刻にやって来た。
八王子から新宿方面に向けてあずさに乗るのは贅沢の極み。気分が良い。
ホームで買ったジュースを飲みながらリクライニングシートで車窓を眺める。
勤め帰りで満員の電車が時々見える。高層ビル群が近づき、下りる客が準備を始める。
新宿に到着。殆んどの客は下車したが、私は降りない。数分後発車。興奮する。
特急電車の窓から外堀沿いのビルを眺め、飯田橋〜水道橋の雑踏を高架から見下ろす。
御茶ノ水の手前であずさは東京へ向かう線路から秋葉原へ向かう線路に渡り線で移る。
車体は右へ振られすぐに左へ振られる。ポイントを通過する揺れに興奮する!
あずさは御茶ノ水を通過し秋葉原も通過。両国も通過した。私は錦糸町で降りた。

上野駅の13番線はあい変らず賑やかだ。しかし今日は1月下旬だぜ!?
もしかして、あけぼのの廃止のうわさでもあるの?と思ったりもする。
写真を撮るのは遅い時間のせいだろうが大人が目立つ。女性もいる。アベックもいる!
私のイメージする旅情溢れる出発シーンとは程遠いのですぐに車内に乗り込んだ。
列車の窓からカーテン越しに上野駅の地平ホームを眺めつつ、発車の瞬間を待つ。
機関車が引く列車だけが持つ独特の発車時の揺れを感じて、感動する。涙が出そうだ。
この感動。嗚呼!よくぞ鉄道マニアに育ちけり!。笑うやつは笑え!!
今日は無事動いてくれた!嬉しい!何しろ前日は大雪の為に運休している。







夜中、新津駅に停車中に目が覚めた。
揺れ過ぎると眠れないが、全く揺れないと目が覚める。
雪が音を吸収するせいで音がしない。ホームの空気も凍っている感じがする。
分岐駅だから運転停車しているのだろうが、ずっと停まったままだ。
嫌な予感がする。途中で運転打ち切りになることもある。
やがて上りのあけぼのがやって来て、それを待っていたらしくすぐに発車した。
次の駅で大阪行きの日本海との交換待ち。遅れはさらに膨らんだ。
私は青森に着いた後、白鳥に乗り継ぐ予定なので遅れが心配になる。
30分程度の遅れのまま酒田を過ぎ、秋田を過ぎ、弘前も過ぎる。
青森までもう少し。このまま行けば白鳥にぎりぎり間に合い、計画通り進む。
しかし新青森の手前で動かなくなった。小さな駅に停まったまま時間が過ぎる。
やがて車内のアナウンスは白鳥への接続ができなくなったことを伝えた。
新青森は新幹線への乗り換え駅だというのに在来線のホームは少ない。
ホームが塞がっていて進入できないのだろう。結局1時間以上遅れて青森に着いた。
予定していた乗り継ぎは失敗したので、今回の旅の目的の一つの
津軽今別-津軽二股での乗り換え体験は諦めなければならなくなった。
現在青函トンネルは新幹線開通に向けてレールの敷設工事を行っている。
完成すれば新函館まで開通し、在来線の津軽今別駅は無くなるはずだ。
ぜひ利用しておきたい。同時に廃止されるだろう知内は以前に利用してある。
時間を潰すために青森の街中をぶらぶらした。これもまた新鮮。雪がすごい。









仙台に宿泊したついでに仙台空港アクセス線に初乗りする。
飛行機に乗る人の為に作った鉄道に興味は沸かないが、JRの仙台駅から発車する以上
放っておけない。往復1時間が無駄に感じられながらも真新しい電車の客となった。
空港には全く用は無いし関心も無いので終点で改札を出ないでそのまま引き返したい。
でもそれだと運賃を払わない事になる。車内で車掌から買う楽しみも過去の事。
無賃乗車になってしまうので、面倒くさいが有人改札を通って乗り越し分を払い、
自販機で切符を買って再びすぐホームに入る。
往復400円×2=800円。距離的にも、気分的にも高すぎて気分が悪い。
仙台から常磐線経由の上野行き特急に乗る。新幹線には乗りたくない。
勝田で下車して、旧茨城交通のローカル私鉄に初乗りする。
上野から大宮まで新幹線に乗ってフリー切符を使いまくり旅を終えた。
これで、東北地方に未乗のJR・私鉄は無くなった。北関東地区も完乗。







次回は飯田線の秘境駅を探訪し、豊橋鉄道と中京地区のJR系未乗区間を完乗し、
久々の高山本線を高性能でワイドビューの特急で抜け、大糸線の復旧後を視察し、
青春18切符を使って1日めと3日めを鈍行列車に乗り続ける旅を計画している。
3月が待ち遠しい。これを終えると国鉄・JRの未乗区間は3区間になるのだが、
九州新幹線が3月に開業予定なので、再び未乗区間は増えてしまう。
国鉄・JR完乗は目前だが九州新幹線に乗るためだけに九州に行く意欲はない。
否、家族の批判を跳ね飛ばす意欲がないと言う方が当っている。
が、夕食の時に妻がそれとなく口にするではないか!
九州新幹線が近々開通するそうね、と。有り難き幸せ! 今年中に完乗達成か!

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